【宇野昌磨列伝】ランビエル氏、出水氏、鍵山優真…取材を通し番記者にも伝わった魅力

フィギュアスケート日本男子初の世界選手権2連覇を遂げた宇野昌磨選手(26=トヨタ自動車)が9日、現役引退を表明しました。5歳からの競技歴は21年。信頼する仲間たちに支えられ、オリンピック(五輪)では日本勢最多のメダル3個を獲得した稀代のスケーターでした。

偉業に彩られた国内外の競技会。その大半に足を運び、その思考に迫ってきた日刊スポーツ新聞、XアカウントFigure365、日刊スポーツ・プレミアムのフィギュアスケート担当記者が過去のノートを見返し、蓄積してきたコメントや証言から、人柄を掘り下げる「宇野昌磨列伝~ニッカン取材ノートから~」を連載しています。

第3回は、ステファン・ランビエル・コーチ(39)出水慎一トレーナー(45)鍵山優真選手(21=オリエンタルバイオ/中京大)の取材を通して感じた宇野の人となり、愛された性格を、担当3記者が紹介します。

フィギュア

22年北京五輪メダリスト会見で並ぶ宇野(左)と鍵山

22年北京五輪メダリスト会見で並ぶ宇野(左)と鍵山

公式練習で宇野(手前)と言葉をかわすランビエル・コーチ(左)と出水トレーナー

公式練習で宇野(手前)と言葉をかわすランビエル・コーチ(左)と出水トレーナー

23年全日本選手権

23年全日本選手権

阿部健吾記者(42)

「ステファンに喜んでもらいたい」

今季だけでも何度、その言葉を聞いただろう。

20年1月からランビエル・コーチに師事し、北京五輪の銅メダル、そして師に並ぶ世界選手権2連覇も遂げながら、その軸はいつも、恩師に歓喜を贈れたかどうかだった。

23年世界選手権

23年世界選手権

19年11月、宇野は絶望の中にいた。

メインコーチ不在のシーズンで、グランプリ(GP)シリーズ第3戦フランス杯は8位。SP、フリーともに1人で「キス・アンド・クライ」に座った。

結果に涙があふれた。

23年GPファイナル公式練習

23年GPファイナル公式練習

沈痛を抱え、向かったのがスイス、頼ったのがランビエル・コーチだった。

「始めた頃のように、スケートを楽しみたい」

以降は拠点となる山奥のリンクに、求めたものはあった。救ってくれた、喜びを思い出させてくれた。

その恩は、ずっと、これからも。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。