宇野昌磨の言葉〈特別編〉「自分の気持ちにうそをつくことが得意じゃない」松本航記者の取材から
フィギュアスケート日本男子初の世界選手権2連覇を遂げた宇野昌磨さん(26)が5月9日、現役引退を表明しました。5歳からの競技歴は21年。信頼する仲間たちに支えられ、オリンピック(五輪)では日本勢最多のメダル3個を獲得しました。
引退会見前後では日刊スポーツのフィギュア担当記者が、その人柄を掘り下げる「宇野昌磨列伝~ニッカン取材ノートから~」を連載し、多くの反響をいただきました。
日刊スポーツ・プレミアムで毎週木曜掲載の「Ice Story(アイストーリー)」。今回から2週にわたり、2016年から担当する松本航記者(33)が印象に残った取材を厳選します。
日刊スポーツ・プレミアムが本格始動した2022年10月以前にさかのぼり、特別版として、ありのままの「宇野昌磨の言葉」をお届けします。
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◆2017年8月24日(新横浜)
フレンズ・オン・アイスに向けた公開リハーサル後に行われた囲み取材。平昌五輪シーズンに向けた決意、自身のポリシーなどを、飾らない言葉で明かした。
―お疲れですか
宇野 お疲れです。
―シカゴに行かれていました
宇野 明確な日にちはよく分からないですが、2週間行ってきて、ずっとジャンプをしていました。
―具体的に教えてください
宇野 一応(4回転を)全部やってきました。サルコー、ルッツ、トーループ、ループ、フリップと。プログラムももうすぐ試合なので少しずつ通して、後半でも跳べる練習をやってきました。本当にジャンプメインの練習でした。
―昨季との練習の違いはいかがですか
宇野 今年は全部(昨季のように)4Tっていうより、ルッツやって、ループやって…。そうやる方がキツイので、そっちでしたね。フリーは数回しか通せなかったので、跳べないジャンプをひたすら練習する感じでした。
―今日(公開リハーサル)は4Tを5本跳んでいました
宇野 自分が今、4回転を何回入れているかとか、あんまり気にしたことがなくて、何回っていうより、どこにどのジャンプを入れるかっていうのが難しいと思っています。回数だけでいったら大丈夫だと思うんですが、例えばまだあまり習得しきっていない4回転ループとか、それを1本目じゃなく、2本目、3本目に跳ぶっていうのが難しいことだと思っていて。それが今、なかなかできていない。フリップを後半で跳ぶっていうことだったり。点数が高いから後半で跳ぶっていうことじゃなく、連続であまり跳びすぎると「プログラム的にどうなのかな?」っていうのがあって、バランス良く前半、後半で跳べるようにやっています。
―みんなが高難度のジャンプを跳んでいると、スピンなどのGOEが勝負になってきますか
宇野 多分、加点も重要になってくると思うけれど、今はこれだけ種類が多いので“ミスしなかったもん勝ち”だと思っています。跳べたジャンプが「よりきれいに跳べるように」っていうのは、次の段階だと思っているので、今は跳ぶことに必死です。
―ルッツは曲の中で跳んでいますか
宇野 まだ構成が決まっていなくて、1本目以外は決まっているけれど、1本目をどうするか悩んでいて。ルッツをやるのか、やらないのか。サルコーをやるのか、やらないのか。やるとしてもどっちか1つですが、今のところ全然できていない。2個目のループが難しくて。そこがちゃんとクリアできたら、1つ目を入れます。
―大阪(以前の取材)ではサルコーの話がありませんでした
宇野 練習をいいかげん「1日数回でもいいからしよう」と思って…。シカゴの終わりかけに始めました。そんなに壊滅的じゃなかった。ルッツより跳べる回数は少ないけれど、体力的に「楽だな」って思ったので。ループが2本目にコンスタントに入るようになったら「サルコーを入れた方が楽なんじゃないか?」と思っています。
―4回転が主になってきて、体力面は大丈夫ですか
宇野 全然ダメです。体力は全然足りていないですし、本当にジャンプだけ、スケーティングだけ、スピンだけの練習をシーズンオフにやってきて、今、一番足りないのが体力だと思います。
―体力を増強するためには何が必要ですか
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松本航Wataru Matsumoto
大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。
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